コロナウイルス

コロナウイルスワクチンについて

2021/3月末頃から、一般の方向けのコロナワクチン接種開始が間もなく始まる報道が多くされるようになり、既に予診票等の配布が始まっている自治体も出てきはじめました。

私自身は地方の診療所で診療にあたっていますが、2021/4/1現在、コロナワクチン接種はできておりません。医療従事者は優先接種とはいえ、やはりまずは規模が大きい病院、コロナ患者の入院を受け入れている病院のスタッフが優先されているようです。

最近外来では、患者さんから「コロナワクチンを打った方が良いのか?」「私はコロナワクチンを打っても大丈夫ですか?」といった質問が非常に多くなりました。

近年ないような規模の集団接種等も準備されており、報道も多くなっておりますが、まだ十分に情報が伝わりきれていないことを痛感します。

副作用や持病など、気になる点が皆さんいろいろあるかと思いますので、医師の視点から解説していこうと思います。

【目次】

Q1:コロナワクチンってどんなワクチン?

Q2:どんな効果が期待できる?

Q3:どのくらいで効果が出現し、いつまで効果があるの?

Q4:安全性・副反応は大丈夫?

Q5:いつ、どこで打てるの?

Q6:ワクチンは打つべき?

Q1:コロナワクチンってどんなワクチン?

日本で承認されたワクチンはファイザー社/ビオンテック社が開発したワクチンです。

従来のワクチンとは異なる、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンという、新しいタイプのワクチンです。

少し専門的な話になりますが、従来の麻疹や風疹、インフルエンザなど他の予防注射では生ワクチンや不活化ワクチンといったものを用いていました。生ワクチンは弱毒化した病原体を用いており、不活化ワクチンでは死滅させた病原体やその成分を用いて体内に投与する事で、病原特異的な免疫を獲得させていました。

一方で、コロナウイルスのmRNAワクチンは、mRNAというたんぱく質を生成するために使用する設計図を利用して、ウイルスの成分に対する抗体を作ります。

ワクチンが摂取されると付近の免疫細胞に取り込まれ、コロナウイルスの遺伝子情報をもとに、ウイルス表面のトゲ(spike protein:スパイク蛋白)を作成します。そしてスパイク蛋白に対する抗体や、T細胞を介した免疫反応を誘導する事で、コロナウイルスに対する免疫を獲得します。

遺伝子情報を体内に投与するといっても、人間の遺伝子レベルの変異を起こすようなことはありません。

Q2:どんな効果が期待できる?

日本でまず接種が予定されているのがファイザー社のみであるため、ファイザー社のワクチンについてのみ説明します。

ファイザー社のワクチンは、ランダム化比較試験(証明力がとても高い研究方法)で発症予防効果95%と非常に高い効果があると証明されています。

モデルナ社は94.5%、アストラゼネカは70%とされますので、他社と比べてもかなり高い数値である事が分かると思います。

接種は2回とされており、1回目接種後3週間(21日)で2回目の摂取が推奨されています。1回目接種後42日以内ならば効果は期待できるとされていますが、PMDAの見解では24日以上間をあけた場合の有効性は確立していないため、3週間を超えた場合にはできるだけ速やかな接種が望ましいとされています。ただ、アメリカやEUでは接種間隔の目安を6週間としている国もあり、臨床報告も増えてきているため、今後改定される可能性は十分にあり得ます。

Q3:どのくらいで効果が出現し、いつまで効果があるの?

接種後の効果は1-2週間程度で出現してくると考えられております(下図参照)。

ファイザー社のワクチンは高い効果を示しますが、1回のみの接種では予防効果は不明であり、2回目の接種によるブースター効果でより高い効果が期待できるようになっているため、必ず2回の接種が必要です(他社のワクチンでは1回のものもあります)。

また、ワクチンの有効期間については、まだはっきりしませんが、4/1のファイザー社の発表したワクチン最終試験に参加した4万6307人の追跡調査では、2回目の接種1週間~半年語までの間に、ゆう症状の感染を91.6%程度防いだと報告されています(Pfizer Shot Remains More Than 91% Effective After Six Months (1):抜粋)

今後、繰り返し接種が必要になるかなどは、現在はまだ明らかになってはおりませんが、インフルエンザの様に毎年打つような予防接種になる可能性もあり得ます。

Q4:安全性・副反応は大丈夫?

これまでの臨床試験や、実際に接種が大規模に施行されている海外の報告から見ても、副作用リスクは高くありません。

ただ、どんなワクチンでも大なり小なりの副作用は発現します。

臨床試験の結果からは、接種部位の疼痛が70%以上の患者に出現し、疲労感や頭痛、悪寒筋肉痛、発熱などの副作用も認めております。インフルエンザワクチンよりも副作用頻度は多いようですが、ワクチンの種類の違いや接種部位の違いも影響はしているかもしれません(日本では一般的には皮下注ですが、今回のワクチンは筋注)。

総じて2回目の接種の方が副作用が強く出やすい傾向がありますので、接種翌日は仕事を休みにする、大事な用事・外出の予定を入れないなどの対策は必要でしょう。

〇海外における臨床試験の有害事象報告

〇国内における臨床試験の有害事象報告

また、最近ニュースで話題になることも多い、アナフィラキシー反応についても説明をしておきます。アナフィラキシー反応というのは、ワクチン接種後30分以内に急速に出現する、以下の①~④のうち2つ以上が発現した場合(①皮膚粘膜症状、②気道呼吸器症状、③強い消化器症状、④循環器症状)診断されます。

診断の際には国際的に使用されるブライトン分類1-3に合致する症例がアナフィラキシーとして報告されます。

米国でのファイザー社のワクチン接種では、100万人に4.7例の頻度とされております。一般的なワクチンでは100万人あたり1.3例とされていることから考えると、頻度が多い可能性はある。ただ、抗生物質では100万人当たり400人、ロキソニンなどの解熱鎮痛剤(NSAIDS)では100万人あたり1300人とされますので、決して極端に多いわけではありません。

参照:日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン

日本におけるアナフィラキシーの発生状況は、2021/2/21~3/21の1か月間で578835回接種した中で(医療従事者に対する先行接種)、181件が医療機関より報告されています(100万人あたり313件)。ただ、その中でブライトン分類に基づき判断をすると、578835回接種中で47件(100万人あたり81件)程度となります。それでも海外よりは報告が多くなりますが、注意すべきは日本の場合、全て医療従事者に行っている点です。

海外でも医療従事者に実施した際には100万人あたり200人程度の頻度でアナフィラキシーが出現したとする報告もあり、医療従事者では一般の方と比べ、起こりやすい可能性がありえます。

アメリカからの報告

オーストラリアからの報告

理由はまだはっきりしませんが、今回のワクチンに使用されるPEG(ポリエチレングリコール)という成分が、病院で使用するような錠剤のコーティング、潤滑剤、超音波ジェル、種々の薬剤の安定剤等で使用されており、医療従事者で感作されている人が多い可能性が言われています。

現時点では、ワクチンによる死亡例は報告されておらず、アレルギーを起こした方も全員回復しており、重度の副作用リスクは低いと判断できます。

Q5:いつ、どこで打てるの?

医療従事者の先行接種が2021/2/17から開始され、一般の方の接種は早い自治体では4/12ことから開始が予定されています(「厚生労働省接種についてのお知らせ」より)

各市町村ごとに接種が行われますが、かかりつけのクリニックや病院で接種をする自治体、自治体ごとに決められた場所で集団接種を行う自治体など、接種場所・方法については違いがあるため、各自治体からの文書やホームページの情報を確認する必要があります。

現状では高齢者、基礎疾患を有する方、医療従事者等が優先され、その後順次一般の方に接種が行われる予定とされています。

Q6:ワクチンは打つべき?

強制ではありませんので、各自の判断で接種は判断します。

打つメリットと打たない場合のリスクを天秤にかけて判断することになります。

私自身は医療従事者ですし、私自身と周りの方を守るためにも迷わず接種を行いますし、家族にも接種を強く勧めます。

実際、多くの医療従事者(特に感染症専門の医師)の方も積極的な接種を呼び掛けておりますので、重度のアレルギー疾患がある方、免疫系の疾患や抗がん剤や免疫抑制剤等の特殊な治療を行っている方以外は、接種するメリットの方が大きいと思います。

もちろん、持病がある方は主治医に確認をしっかりしておくことが必要となります。

〇最後に:

残念ながら、「ワクチンは悪だ」、「ワクチンから人々を守る」とうそぶいてワクチンを受けない様に呼び掛けている方もいるようです。

こういった行動は全く根拠のない行いであり、科学的な思考を放棄し、感染により苦しむ人を生み出す、非常に愚かな行為です。

先日子供が見ていた人気アニメでも、「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」というセリフがありましたが、皆さんや周りの大切な人の命に係わる重要な事ですので、耳に入った言葉をうのみにせずに、しっかり自分で考え、科学的・論理的に正しい判断をしていただければと思います。

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